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第5話 ええ!!!何だそれ?
リンは車の後ろの方から可愛いパジャマに着替えてやってきた。
小さい枕を抱いてベッドの横にちょこんと腰掛けた。
「もう少しそっちに詰めて」
「えっ、何?」
「だからもう少しそっちに行ってくれないと一緒に寝れないでしょう…」
「はあ、何言ってんの?」
リンはニッコリ微笑んで優しい目で見てきた、どうしたんだコイツ?
「今日は迷惑かけて本当にゴメンなさい、心からのお詫び……いいよ」そう言うと横に入ってきてゆっくり目を閉じた。
「何?どう言うこと???」
「だ・か・ら、抱いてもいいよ」にっこり微笑んだ。
オレは慌てて飛び起きた。
「何言ってんのお前!バカじゃないのか!!!」
「えっ?」不思議そうな顔をしてこっちを見ている。
「だから…もう…抱いてもいいよって」再びにこやかに微笑んだ。
「なんかお前、頭おかしいぞ」
「えっ、なんで?普通みんなこのムネに触りたがるよ?」
「よーく考えろよ、自転車を壊された上になんで夜の相手までさせられなきゃいけないんだよ」思わず舌打ちをしてしまった。
なんだこの女は、心の中にモワッと怒りが湧いてきた。
「…………」リンは全く理解できませんという顔をしている。
「あのなあ、もしオレが自転車でこの車にぶつけてキズをつけたとするよ、そしてこのキズのお詫びにお前を抱いてやると言ったら、お前は『はい、ありがとうございます』と言って抱かれるのか?」
「はあ?」なんとなく分かったような分からないような顔をしている。
「でも、みんな私を抱きたいって言うよ」首を傾げた。
「オレは好みじゃないから・い・や・だ!」
「私Hカップだよ!」少し睨んだ。
「だから何!」
「本当に抱かないの?」
「ああ……」
リンは少し考えているようだ、オレは少しため息をついた。
「分かった、初めてなんだ、大丈夫、私が優しくしてあげる」また微笑んで近づいてきた。
「まじか、オレは初めてじゃない、何人も知ってる」正確には経験は2・5人だけど今説明は必要じゃない。
「えっ、そうなの、じゃあ何で?」
ベッドの上でキョトンとしているリンを見てなんかイラついてきた。
サッと抱き寄せると、待ってましたとばかりに目を閉じた。首筋にキスをするフリをして耳あたりの匂いをクンクンと音を立てて嗅ぐフリをしてみた。
リンは慌ててパッと離れて赤くなった後、恐怖を浮かべた顔でこっちを見た。
「へえ、抱かれてもいいけど、耳元の匂いを嗅がれるのは嫌なんだ」
「…………」首を何度も縦に振った。
「意味わかんない、抱かれたらもっと深く色んなことが分かるだろうに」
「…………」恐怖の顔をしたまま固まっている。
「分かったろ、分かったならもう言い寄ってくるな、また来たら全身あちこち匂いを嗅いでやるぞ!」
リンは恐る恐るベッドから離れると、車内の後ろへと後退りした。
「何だよ、そっちでも寝れるのかよ」
「…………」だまったまま何度も頷いた。
「おやすみ!」
「…………」
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