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第54話 報告
カフェの奥の駐車場には凛のキャンピングカーが停まっている。
お店の中では凛がお客さんから注文を聞いていた。「はい、コーヒーですね」
俺は厨房でコソコソと働いている。
「まだゆっくりしてていいって言ったのに、凛ちゃんがどうしてもやりたいっていうから……」母さんは嬉しそうだ。
奏太がやってきた。
「ヤッホー!!!凛ちゃん」
「奏太さん、いらっしゃい」
「いつものお願い」
「はい、ミルクティですね」
「ねえ、匠真と凛ちゃんの写真を撮らせてもらってもいい?」
「えっ……ねえ匠真さん、どうする?」
「奏太、一体何に使うんだよ?」
「2人並んだ写真を撮ってネットに上げて、ハッピーエンドになりましたって報告しようと思ってさ」
「そんな事して大丈夫なのかよ、また炎上するんじゃないのか?」
「多分大丈夫だと思うぞ、それに本当にプリンちゃんを心配してる人達も沢山いるし」
「そうか………」凛を見ると
「じゃあお店の前で記念撮影しようよ」凛はイタズラっぽい目をして微笑んだ。
「それいいねえ、今ここで花嫁修行中ですって事で」
写真を撮ると奏太はミルクティを飲みながらSNSへアップした。
翌日からカフェの前にはプリンファンの行列が出来た、『おめでとう』の花束もたくさん届いた。
「やっぱりプリンちゃんの人気は凄いなあ……これ迄に最高の売上げになりそうだ」父さんはニッコリしている。
「そうね、バイト増やさないと無理かもね」
「匠真は幸運の女神を連れて帰って来たのかもしれないなあ」
「それは嬉しいけど…………私の体力がもたないわ」母さんも笑っている。
俺はひたすら厨房で働いた。「うーん……プリン人気は凄まじいなあ」
凛はニコニコしながら訪ねてきたファンの対応をしている。
「いらっしゃいませ、ご注文は?…………唐揚げ親子丼ですね、有難うございます、これを食べると幸せになるんですよ」ニコニコと対応している。
少しずつ元気になっていく凛を見て俺は汗を拭きながらもホッとしている。
実家のビルの5階の凛の部屋はとても良い感じだ、当然俺は入り浸っている。
しばらくして2人で岩手に行った。
「光司叔父さん、ご無沙汰してました」
「やあ凛、よくきたねえ」
「電話で話した匠真さんです」
「初めまして、桐生匠真です、凛さんとお付き合いさせていただいてます」頭を下げると。
「是非凛をよろしくお願いします」そう言って両手で俺の手を力強く握りしめた。
「はい、必ず凛さんを幸せにします」
2人を見ていた凛は照れ臭そうにしていた。
「光司叔父さん………少し白髪が増えたんじゃない?」
「そうかい……苦労が多いからなあ」叔父さんは笑った。
その後2人でお墓参りをした。
凛は花を飾ると、手を合わせた。
俺もその横で手を合わせた。
そして心の中で『必ず凛を幸せにします』と誓った。
凛は目を閉じて涙をポトリと落とした。
そしてずっと言えなかった『ごめんなさいとさようなら』を言った。
御礼
読んで頂きありがとうございました。
小説を書き始めて2作目となりました。
頭の中の映像を文章に書くことがどれだけ難しいことか痛感しています。
私の頭の中の映像には時間軸がほとんどなくて、断片的に出てきます。
出演者が勝手にいろんな事をするんです。
それを整理しながら文章にするのですが、思うように行きません。
他の人はどんな風にして書いているのかとても興味があります。
しかし聞くこともできないので、自分なりのやり方を上手くなるようになるしか無いのかもしれません。
文章の勉強をしたこともないので、上手く表現することもできません。
妄想と勢いだけで始めてしまったことですが、読んで頂けることが嬉しくて
恥ずかしくも書き続けています。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
心より感謝します。
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