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第8話 うわっ!
バッグが閉まる音がしたので何気なくリンを見た。
「うわっ!」
「どう?見直した?」
「ケバ、何だそのメイク!キャバクラにでも出勤か?」
「何よ、ちょっとは綺麗になったって思わないの?」
「目が変な色だぞ」
「カラコンだもん」
「顔のあっちこっちに色が付いててパレットみたいだぞ」
「この方がカメラ映りがいいの」
「あっ、そう言うこと……」本当かなあ……。
リンは鏡で確認すると立ち上がった。
「着替えるから向こうを向いてて」
「はいはい」オレは体ごと後ろを向いた。
ふと置いてある金属の箱が目にいった、そこにリンの姿はシッカリと写っている。
Hカップか、やっぱりデカイなあ……また派手な色の下着だこと……しばらく見ていたが
多少悪い気がしたので目を逸らした。
「はい出来ました!」
胸が強調されたニットのシャツにビリビリに破れたジーンズだ。
「そのジーンズ、パンツ見えるんじゃないのか?」
「見えそうで見えないとこがいいのよ、それにこれビンテージだよ」
「ビンテージ?それがかよ……」心配して損した勝手にしろ。
リンは小型カメラとスマホを用意して蕨宿へ向かった。
蕨宿では、中山道ふれあい広場や蕨本陣跡などを歩いて回った。
リンは小型のカメラを手持ち用スタンドにつけ微笑みながら話している。
宿場碑などがあるとカメラを固定し、レポーターのように画面に入ってきて楽しそうに話した。
「ふーん、わりと頑張って仕事してるじゃん」少し離れたところから自分が映らないように気をつけながら見守った。
せっかく来た中山道なので、オレもスマホで写真を撮った。
午後には遅めの食事を済ませ、また撮影した。
夕方になって泊まれる所を探した。結局またスーパー銭湯に戻る事になってしまった。
「キャンピングカーって意外に止めるとこ無いんだなあ」
「そうなの、街中は特に難しいわ」
「ふーん、そうなんだ」
お風呂に入って食事を済ませると、キャンピングカーへ戻ってきた。
リンはノートパソコンを取り出すと、今日撮った映像のデータを取り込んでいる。
しばらくすると、取り込んだ映像の使えそうなところだけ切り取って繋いでいる。
「ねえ、再生するから私が喋ったことで、これはマズイと思うところがあったら教えて?」
「ええ、編集作業を手伝うのかよ!」
「いいでしょう?好きな中山道のことだから」
面倒臭いと思ったが、映像編集に多少は興味が湧いたのでとりあえず見る事にした。
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