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‘白川さん、引っ越しされたみたいよ’
やっぱり気にし過ぎではない…きた…白川さんは恵麻ちゃんのお宅。東京にいることも言えるくらいなら、白川さんもいない地元に戻れるんじゃない?そう言われているようだ。そう言われても仕方ないんだけど、あの場に戻りたくないんだ。
少し視線を落とした私に
‘良子?聞こえる?’
お母さんの声が聞こえてくる。
「もしもし、おばちゃん?俺、颯佑」
‘えっ…?颯佑くん良子と一緒なの…?’
「先に会ってごめんね。再会して告白して付き合ってるから」
‘良子と…颯佑くんが?’
「そう」
‘今、颯佑くんが東京に行ってるってこと?’
「そう」
‘…嬉しいような…嬉しいんだけど…’
言葉とは裏腹に暗いトーンの音色が聞こえて
「お母さん、誰も悪くないから。私が言えなかっただけで…とにかく東京で元気にやってるから。今日はそれだけ…じゃあね」
通話を終えようとする私の手を颯ちゃんが止めた。
「おばちゃん。リョウは毎日頑張ってるよ。ただそこの空気には触れたくないだけだから…気を悪くしないで」
彼がそう言ってからすぐには返事がなく、彼は‘きるよ’と通話を終えた。
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