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「リョウ、お疲れ…上出来」
颯ちゃんは私を後ろから抱きしめる力を強くすると、顔を私の肩に乗せ
「…おばちゃんはおばちゃんで思うところがあるってのがわかるよな…ちょっとだけリョウのペースとは違うのがよくわかった。大丈夫か?」
自分が電話してみる?と言ったことを気にしてか、颯ちゃんは遠慮がちに聞いてきた。
「大丈夫。決して帰って来いとも会おうとも言わないんだけど、そのふたつは三岡先生が初めにキツく禁止って言ってたんでしょ?」
「そうだ。そのふたつと、探し回ることは厳しく禁止と言われてる」
「だから、お母さんもその言葉は使わないんだけど…私が深読みし過ぎかもしれないけど…」
「いや…深読みのせいというわけでないだろうな…」
「…そう思う?」
「リョウの話を聞いていた時には、リョウが気遣い出来すぎるからか?とも少しは思ったが…あのタイミングで引っ越しとはな…おばちゃんの気持ちが出てるよな」
「颯ちゃんや颯ちゃんのおばちゃんたちに、うちのお母さんから文句言わなきゃいいけど…」
「それは大丈夫。もしそんなことがあっても、おばちゃんを悪くも思わない。母さんに電話してみる?」
「おはぎのお礼、言おうかな…」
颯ちゃんは私のスマホの隣に自分のスマホを並べて置くと、同じようにスピーカーにしてタップした。
‘颯佑?何やってんの?良子ちゃんと一緒でしょ?フラれたの?’
元気なおばちゃんの声に、ふっ…と二人で笑いが漏れる。
‘あんたがフラれるのはいいけど、おはぎは届けてくれた?’
「おいおい、フラれてねぇよ」
「…おばちゃん…おはぎ食べたよ。ありがとう、すごく美味しかった」
‘キャー良子ちゃーん、食べてくれたの?今年一番の出来事だわ。来週も作ろうか?フラれてないなら颯佑が木曜日に行くんでしょ?’
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