YAKUZAYA

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「もう少し、もう少しだけ待っていただけませんか」  僕は土下座した。 「何言うとんじゃぼけ、借りたもんは返すのが当たり前やろ、あほんだらんどらうんどらほんどら」  何を言ってるのかわからない時もあるが、大阪のヤクザは怖い。 「そこをなんとか、なんとかお願いします」 「これ以上待てるかっちゅうねん、いてもうたろか、ぼけ、かす、あほんだら、ふんどら」 「ほんとに、お金がないんです」  僕は必死に訴える。 「ふざけんなこら、金がないてどういうこっちゃ、ぼけ、かす。ほなお前に無理ならな、お前の嫁もろて帰るわ、なかなかええカラダしとるやんけ、売り飛ばせばそれなりの金になるやろ、あほぼけかす」 「いや、それだけは、それだけはご勘弁を」 「勘弁やあるかい、しばくぞ、あほぼけかす」  そこで僕はわずかながら手持ちの金があることに気づく。 「あ、そうだ、ここに2000円、2000円だけあります、今日のところはこれでなんとか、これでなんとかお許しを」  さらなる土下座だ。 「はあ?2000円?2000円やと?ふざけんなよ、ガキの小遣いちゃうねんぞ、いてもうたろかこらぁ、とまあ言うたところで、それだけしかないんならしょうないわい、今日のところは勘弁したろ」 「は、はい、ありがとうございます」  額が床ですり切れそうだ。 「言うとくぞ、これで終わりちゃうからな、また来るからな、ちゃんと用意しとけよ、あほんだら、あんだら、んだら、ぼけ、かす」  ヤクザが帰っていったので、僕も部屋を出た。  ヤクザに脅されることに快感を持つ人間が通う風俗店、「YAKUZAYA」。  今回は2,000円のコースだったが、次は5,000円のコースにするつもりだ。            THE END
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