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人違いでは?
「以上、23組のカップルが誕生いたしました! おめでとうございます!」
フワフワと夢見心地の僕は、気づけば案内されるままに最上階のラウンジにいた。
「これは、番組の企画か何かですか?」
静かなラウンジの中、小さなテーブルを挟んで僕の前に座る峯岸綾乃に思い切って尋ねると、彼女は楽しそうに笑った。
「いいえ。今日は私、プライベートで参加してますので」
「失礼ですが、どこかでお会いしましたか?」
「はい。山ノ上公園で」
「すみません。全然身に覚えがないので、どなたかとお間違いではないですか?」
恐縮する僕を優しい眼差しが射抜く。その美しい黒い瞳には、なぜか見覚えがある気がした。
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