103人が本棚に入れています
本棚に追加
その後
半年後。
杉野は美佳ちゃんと同棲を始めた。
そして僕は部屋で一人、テレビを見ている。
画面の中では、峯岸綾乃がたくさんのマイクを向けられている。
「お相手は一般人ということですが、式のご予定は?」
「桜吹雪の舞い散る頃に、少人数で行う予定です」
「『来春、親近者のみで行う』ということでしょうか……?」
「彼のどこに惹かれましたか?」
「強気を挫き、弱い者をを守るところです」
「正義感の強い方なんでしょうか……?」
「その回答は、僕の名前を公表しないと伝わらないよ。全くいたずらが好きなんだから」
僕はテレビを見ながらツッコミを入れる。
「結婚を意識されたきっかけは?」
「そうですね。彼が50年後の私を、そのまま愛してくれると確信できたからですかね」
少し不思議そうな顔をする記者をはぐらかすように綾乃は微笑んだ。
彼女の左手には僕の給料3ヶ月分をつぎ込んだプラチナリングが光っている。
最初のコメントを投稿しよう!