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平服って何? 美味しいの?
「出たよ、平服」
僕は小さく頭を振る。
思い返せば大学4年生の夏。
エントリーシートを握りしめ、リクルートスーツでいくつも面接をこなした日々。
「平服にてお越しください」
と言うからチノパンにジャケットで出向いたのに、面接会場ではタラタラと嫌味を言われた。
「入社面接にそぐわない服装だとは思わなかったのかね?」
反省して次の面接時スーツで出向くと、またもや渋い顔をされた。
「平服でお越しくださいという注意書きを読まなかったんですか?」
『だったら何が正解なんだ!?』と叫びそうになったあの地獄の日々が蘇る。
「セレブの集うお見合いパーティーだからスーツなのか? 公園デートだからカジュアルなのか?」
頭を抱える僕を松下は笑った。
「開催日は土曜日だ。スーツを着て行って、カジュアル服をバッグに入れて持っていく。ぎりぎりまで仕事をしていたといえば、スーツがその場で浮いても言い訳が効く。スキを見て手持ちの服に着替えりゃいいだろ?」
なるほどその手があったか……流石だな。
僕は松下に尊敬の眼差しを送った。
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