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広い玄関に入るとすぐに階段があり、左手にある居間との間に細い廊下がまっすぐ伸びている。
階段は箱階段と呼ばれるものらしく、玄関を上がって廊下を進むと階段の側面は戸棚になっていた。
「奥の部屋、きれいにしておいたから」
「ああ、ありがとう。咲那、行くよ」
母は荷物をもって足早に進むと、突き当りにあるキッチンの隣であり箱階段の裏にあたる部屋のドアを開けた。
その部屋はわたしたちが泊まるときに必ず使う部屋で、この家にある唯一の洋室だった。
「咲那ちゃん、荷物を置いたら居間においでね。おじいちゃんもいるから」
おばあちゃんは居間のふすまに手をかけながら言うと、わたしがうなずくのを確認してから中に入っていった。
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