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おばあちゃんの家
小学四年生の夏休み、わたしは母に連れられておばあちゃんの家に行くことになった。けれど、わたしは行きたくなかった。
おばあちゃんの家が嫌いだったのだ。
おばあちゃんの家はとある山間の集落にあった。
背後に迫る山の木々に覆われた家は一日中薄暗く、周囲には木々と畑しかない。
人の気配も希薄で、ときおり混じる近くの川の音以外は蝉の声しか聞こえない。
何より嫌だったのは、山の中を這いずるように伸びる細長い道だった。
どことも知れず蛇のようにうねりながら薄暗い家々を結んでいく道は、わたしにとってあまりに不気味で不吉だった。
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