act.1 それでも日常は続く

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 それでも、美音には学校でたまに声を掛けてくるクラスメートが居るという。  なんと本物のネイティブ・アメリカンの男子。日本人の美音に、俺達は先祖が同じって説があるねと声を掛けて来たとか。モンゴロイド起源説だな。  恋人(ステディ)はいるのかと不躾に聞かれたんで、いるよと言って俺の写メをいきなりそいつの眼の前に突き出して見せたそうだ。(いつの間に撮ったんだ)  俺に自分と同じ系統の血が流れているのはすぐに分かったみたいで、それ以来そいつはそういう話は振って来ないとか。でもとりあえず普通に会話はしてくれるし、困った事とかも相談できたりするらしい。 「ちょっと雰囲気がジョニー・ディップぽい。あの人もチェロキー族の血を引いていたわね」  アメリカの俳優か、偏見かも知れないが手が早いイメージしかない。  早めの牽制はきっと良かった。  他に喋る相手がいないのは、話す事が出来なかった昔で慣れていると美音は笑う。  美音も頑張っている。  今年の美音の誕生日は、あちこち探してアンデシンのペンダントを買った。郵送で送るのは怖いから、カナ姉に頼んでアメリカに持って行ってもらう事に。  だからまだ話だけだが、美音は凄く喜んでいる。  指輪とお揃いだから、お出掛けの時は必ず着けるよと言ってくれた。 0c3d745f-fa07-44bc-8e66-26621899aae4 アンデシンラブラドライト
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