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今年のGWも去年同様に田植えで忙しかった。
けど、他県に就職した先輩達も帰って来て久し振りに会えたから嬉しい。
その中でも田代先輩はわざわざ真也も呼んでくれて、ちゃんと家まで迎えに来てくれた。前に約束したスイカの苗と霜よけの藁束も持ってきてくれたのだ。
「ちょっと遅くなったけど、後で拓海と一緒に地植を頑張って」
本当にしっかりした苗だった。四月に先輩のお父さんが農協で購入してくれて、今まで世話をしてくれていたらしい。とてもありがたい。
「真ちゃんも歩兄ちゃんちの田植えを手伝ってくれるんだな、ありがとうな。今日は天気が良くて良かった」
「うん、僕も手伝う!」
真也の事は田代先輩には伝えてある。とても戦力にはならないと思うが、それでもおいでと言ってくれる。真也にもいい経験になるだろう。
「よし、それでは今日一日よろしくお願いします真ちゃん」
「はい!お願いします」
真也にとって初めての他人様の家での本格的な農作業だ。母ちゃんに汚れてもいい古い学校ジャージを着せられ足元は長靴、田代先輩の車に張り切って乗り込んだ。
母ちゃんはちょっと心配そうかな?仕方ないか、元々心配性だ。
大丈夫、俺も一緒なんだから。母ちゃんに手を振って出発した。
「先輩、大学はどうです?」
「うん、面白い。色んな奴らがあちこちから集まっているからな。俺が目指す農業共同企業体に興味を持ってくれてる連中も多いよ」
先輩も順調らしい。
「拓海の方は?」
「一応進学クラスに入ってます」
「志望校は?」
「まだです」
まだまだ絞り込めてない。
「うちの大学も視野に入れといてくれ。光触媒における水耕栽培の設備がかなり充実している、今年中に実験棟も増設するらしい。今度時間があったら見学に来るといいぞ」
「はい」
光触媒LED栽培、それは俺が興味のある分野だ。ウチの学校の温室での作物成育状況を見ていると、やはり将来的な選択肢の一つにはなっている。
安定した収益を望む農業には向いていると思う。
「えるいーでーさいばいってなに?」
おっと、真也には未知の分野か。
「今度兄ちゃんの学校に連れて行ってやる、LEDって電灯と水でレタスが作れるんだ」
「お日さまいらないの?土も?」
「そうだ」
「すご~い!魔法みたいだね!」
真也も兄ちゃんも、まだまだ勉強する事がいっぱいだな。
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