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修学旅行は予想通りの関西方面三泊四日で、特に俺はなんの感慨も無かった。元地元民の俺は、小中学校の遠足や何やらで行ったところばかりだ。
ただ自分の弟妹と隣の山岳や春風が喜びそうなグリコのお菓子を買い漁り、あとは北が行く先々で悠里に買いまくるお土産を眺めていたぐらい。感動も何もなく修学旅行は終了。
そして直後は文化祭だ、しかし今年は文化祭の一般公開が無い。
ただし農産物や花卉類の販売だけは体育館で前回同様に大々的に行われ、その売り子は去年と同様に一年生が頑張った。その他は各部活の活動発表で終了だ。
打ち上げは緒方先輩の部活引退セレモニーも兼ねていて、たった一人の三年生だった先輩を1、2年生7人全員で送り出す(幽霊は含まず)
緒方先輩は卒業後には地元の大学に行くそうだ。幼児教育学科がある所だから、卒業後は自分の家が経営している託児所で先生だとか。
実際の所、この地元で進学するのは選択肢が少ない。一応、他にも短大と四年制大学もあるにはあるが、国文学科が中心で俺とかには興味のある学科は無い。
緒方先輩はちょうど良かったケースだ。
「次の部長は北で副部長は拓海だ。風見は家庭科部と掛け持ちだから役職は辞退した。書記と会計は兼任で美空、みんなで仲良くやるんだよ」
いつも穏やかだった緒方先輩が保父になるのは、とても似合っているような気がした。
間もなく期末テストと冬休みだ、いつものように部活の当番表を作らなきゃな。
本当に、いつものようにだ。
俺は何も変わらない。
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