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【連絡もなしに】
一日中裸で、何度も抱き合って、一緒にシャワーを浴びて手を振って別れる。
性格も体も相性が良くて後腐れない相手っていうのは貴重だ。
これでしばらくは心も満腹。
久し振りに穏やかな気持ちで眠りに就こう!と玄関から振り返ると。
夜中だってのにチャイムが鳴った。
「────進藤さん」
「よう」
「なんで……」
「誰か来てたか、今」
──すれ違ったんだ。
なんかちょっとひやりとして、何も言えなかった。
けど進藤さんは気にする様子もなくて──
不機嫌になられるよりも、効いた。
「えっと、なんで」
「近くまで来たから」
「!」
顔でも見に、ってこと?
「ケツ出せよ」
「ですよね……」
リビングの方へ向くように肩を回され、乱暴に背中を押されて少しつんのめる。
「あー、でも俺今日……」
「あ?なんだよ」
「ちょっと疲れてて……」
一日中やってたからな。
進藤さんは誰にでも分かるほど「だからなんだよ」って顔をしていた。
──いいけどさ。
気づいた時には溜め息が出てた。
「じゃ、ベッドどうぞ」
ふん、と鼻で笑いながら進藤さんがベッドに腰掛ける。
今日はもう性欲なんて欠片もないのに、それを見てるとやっぱり強烈に胸が詰まった。
ミネラルウォーターを手渡してスウェットを下ろし、進藤さんのを取り出して咥える。
ああくそ、やっぱ好き。
溜まってたのか俺の手際がいいのか面白いほど大きくなったので跨ると、進藤さんが顔を歪める。
「大丈夫ですよ、今日は俺もう何も出ません」
「やってたのか」
「一日中」
「っは……変態の上にビッチかよ」
「あんたが来なかったからだろ………、ッ、」
とっくに解れてるから少しローション付けただけで埋め込んでいくと、また進藤さんが目つきを荒げた。
「ガッバガバなんだけど」
「……………すみません」
──あいつのが、でかいんだもん。
好きなのは進藤さんのだけど……。
「ん……………っ、」
進藤さんがここにいるのは、嬉しい。
気持ちもいいけど、さっきまでのほんわかした気持ちを捨てて、叶わないけど抱いてくれるんならいいやって気持ちに切り替えるのが難しかった。
──諦めたほうが、俺は幸せかもしれない。
「てめ、気ぃ入れろや……緩い上に適当じゃいくにいけねえだろーが」
「………すみません、」
頑張ってるつもりではあるんだけど──
呼吸ばっかり早くなって、気分も乗らないし技量だけではどうにもならない感じ。
いつもだったら体が勝手にこの人に吸い付くのに……。
(進藤さん今日シラフだし……)
好き好き言っていいんなら、どんだけでもエロいサービスできる自信はある。
けどシラフじゃそれもできない。
気持ち悪がられるだけだ……
……妄想でもしてみるか。
この人は俺のことが好き、俺のことが好き────
「チッ……」
出端をくじかれた。
「どけ!」
「……はい」
駄目だった。
(もう来てくれないかもしんない……)
「手ぇ突け」
「え」
言われた通りにベッドに手を突くとまた舌打ちされる。
この人の舌打ちは、ほんと身震いするほど怖い。
びくついていると横尻を叩かれた。
「乗れっつーの!」
「??えっ?」
また言われた通りに膝もベッドに上げると、ぐっと腰を引き摺られ、進藤さんの方に向けた尻のそこに熱い感触。
「え、えっえっ、あっ──……!」
「……絞めろ」
「あっあっ、進藤さん──」
「うるせえな!絞めろっつってんだろ!」
「んぁっ!」
鋭く尻を叩かれて背筋が引き攣る。
それでやっと、締める感覚を思い出した気がする。
いや、思い出したのにめちゃめちゃ叩かれている。
痛いのに、進藤さんが自分で入れて動かしてくれてるのが嬉しくて、喉が枯れそうなほど喘いでいた。
そうだ、俺ってこうだった……。
で、うるせえってまた叩かれる。
「んっ、んっんっあっ……進藤、さんっ、気持ちい……嬉し、いっ」
「はぁ!?気色悪いこと言うな」
「あっ、あっあっあんっ……んっ……!」
だって進藤さんが動いてくれるなんて──。
スウェットを捲り上げて自分で乳首をいじりながら進藤さんがくれる快感に喘いでいると、頭の中が白くなってきた。
ぐちゃぐちゃの腹の中から、腰、背中、頭。
足の先まで甘くて鋭い快感が走って、ビリビリする。
一瞬意識が飛んだ気がする。多分叫んだだろう。
まだ体中痺れて絶頂感が抜けないのにスパート掛けてる進藤さんは滅茶苦茶に突いていてもう死にそうだ。
気持ち良くて仕方がない──
(これやばいやつだ………)
(ドライってやつかなあ…………)
間違いなくいったはずなのに一瞬たりとも冷めない、
どころか熱は増していた。
もっとしたい。
帰んないで欲しい。
抱いて。お願いだから。
ひときわ強い音がして進藤さんのが震える。
恐怖のような焦燥が襲ってきた。
「進藤さんっ……!お願い、もっかいして……」
「はぁ?なんだてめぇは」
ああ、絶賛賢者モードだ……。
でもだめだ、怒られるの分かってても聞き分けられない。
「お願い、俺……変に、なってる」
「いっつも変だろうが。帰る」
「えっ、やだ……!進藤さん──……」
腰が抜けてしまって、なんか悲劇の少女みたいな変な座り方から立ち上がることもできずに縋るみたいに進藤さんを見上げる。
どうにか止まらないか、その、ゴムを捨てるの、拭くの、ジッパーを上げるの…………
「────」
ドアの閉まる音がして、いよいよ涙がダムでも決壊したみたいにぼろぼろ溢れた。
鼻水も垂れて呼吸も苦しくて、気持ちいいのはまだ残ってるし、どうしていいか分からなかった。
──進藤さん。
寂しい。胸の中で氷が溶けて広がってくみたいに冷たくて、息が詰まる。
それなのに気持ちはこの上なくやらしい。
滅茶苦茶にされたい。
おもちゃ持っとけば良かった……。
縋るような気持ちで指入れて、狂ったように前立腺を刺激する。
「あっ!あぁっ………!!!」
大きく腰が跳ねて、本当に少しだけど精液が出た。
ぐずぐず言いながら動悸が収まるのを待つと、それと一緒に濁流みたいだった快感も徐々に徐々に引いていく。
「っは、あ……、あぁ………、よかったーー……」
ついに、本当に頭がおかしくなったかと思った。
「………………、うぅ…………」
でも涙が止まらない。
なんだよ、俺今日は少し満たされてなかったっけ。
惚れてなくたって、声可愛いよなとかフェラ上手だとか言ってもらえて、ご機嫌だったんじゃなかったっけ……………。
──本当に、なんであんな男。
「すきなんだよぉ………………」
その日は、そうやって泣いているままに寝てしまった。
おわり
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