ダリア

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ダリア

──6月15日。午前11時24分。雨。 「たまたまこの家に発電機があったからいいが、そろそろ燃料も切れてきたな」 「長いわね、雨」 「ニャー」 博士はイブのカメラの上に乗り、横になる。 「悪いがまた一緒に燃料を探してもらえないか?」 「いいけど、また見つけられるとは限らないわよ」 ──過去ログファイルを参照。 ・深刻な燃料不足 我々のような電動のロボットやアンドロイドには本来化石燃料は不要だが、使用する道具や発電機となれば話は別だ。 化石燃料は時間と共に酸化などにより劣化し、使い物にならなくなる。その為、残っている化石燃料の中で、今でも問題なく使用できるものは限られてくる。 「その時は、俺を日に当たる位置に安置して置いてくれ。日が出たらまた動ける」 「そうしてる間に盗賊アンドロイドにパーツを奪われておしまいよ」 「……だなぁ」 ──シュミレーション開始。 付近に残存する化石燃料を計算。 ・放置車両……0.002% ・ガソリンスタンド……0.364% ・工業地帯……2.341% ・アウトレットモール……24.557% アウトレットモール周辺に濃厚な検知ジャマー反応。多数のロボットが群れを成しているものと思われる。 「わかった、モールに行ってみるわ」 「モールってお前……、以前展望台から見えたらあれだろ?」 「ええ、そうよ」 「あんだけ沢山の盗賊アンドロイドがいたんだ。流石のミラでも……」 「シュミレーションでは45~48機よ」 「さ、流石に無理だろ……」 「……そういえば、まだイブには見せたことがなかったわね」 ──両アームユニットを『βモード』に切り替え。 「……なるほど」 「ね、できるわ」 「とはいえ、あんま無茶すんじゃねえぞ」 「わかってる。その為に博士とイブがいるんだから」 「もしかしたら俺の新しいボディも見つかるかもな」 「あんながらくたの中からじゃ見つかりっこないわよ」 「あぁ~、まあな」
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