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生徒と教師
「行橋先生、あ、あの、僕と付き合って頂けませんか?」
「は?え?っと…ごめんな?生徒とは無理だ」
なぜだ?なぜこんなにも男に告られる?確かに女にもモテるが、男子校だけに男率が高い。
今は付き合うとか、ちょっとめんどくさい。断りの文句は【彼女持ちor生徒は無理】
俺はゲイ、男が好きだ。でも恋人関係は嫌なので割り切ったセックスだけでいい。だから、生徒には手出ししない。
「行橋先生!」
ほら、まただ…
「付き合いはできないぞ…」
「わかってます。だから、僕の事好きになって下さい!」
おっと…先手を打ったのに、そう来たか。初めてのパターンだな。
「好きにって…生徒とは…」
「だから、付き合ってなんて言ってないでしょう?好きになってって言ってるんです」
「何も知らないのに、好きになるなんて無理だろ…」
「2年A組、桐生雅哉」
桐生?ああ、職員室で美人って噂になってたのはコイツか…確かに…いや、はっきり言ってタイプだ。
「桐生、ごめんな。気持ちは嬉しいよ?けどな、俺たちは生徒と教師だ。恋愛は無理だ」
「だ・か・ら、先生が我慢できなくなるぐらい僕を好きになって下さい!」
時が止まる。
「ふふ、お前面白いな。わかった、お前の事、我慢できないぐらい好きになったら言うな。でも、しつこくされるのは嫌いだし、俺たち二人だけの秘密な」
「先生…僕、本気だからね」
「ああ、わかっている」
「行橋先生…」
「ん?」
「好き」
ドクン、なんて顔すんだ。
「じゃあ、よろしくお願いします」
桐生は深く頭を下げて、走って去って行った。
ドクン…ドクン…アイツ本当に高校生か?あんな妖艶な表情…大人の女でもしないぞ。
ああ、いかんいかん…生徒には手を出さないんだ、ってか出せないんだ。
タイプなだけに、気を引き締めないと。
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