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「そうなんですか?」 わたしにそう訊ねたのは、トレーに載りきらないほど小鉢を並べたあさみっちこと、浅見円香さん。部署は違うけれど、とよっちとは同期入社で、そのご縁もあって一緒にお昼ご飯を食べている。 色白でお人形さんのような面立ちをしているが、顔に似合わずかなりの食欲の持ち主。というか、ストレスがたまると食欲が止まらなくなるらしい。 2人のやや熱い眼差しにわたしはヒレカツをお皿の上に戻した。そんなに見つめられると、食べ辛いんですけど……。 「そんな話は特に聞いてないですけど……。でもま、3月も6月も一緒ですよ」 「え~、三島さんがいなくなるのは寂しいです。何とかならないんですかね?」 「こればっかりは雇われの身ですから」 とよっちはもどかしそうに目をくいしばった。そういうところ、本当に可愛い人だなって思う。年はひとつしか変わらないけど。ちなみにわたしの方が上だけど。 「もしそうなったらその時はその時で。お2人にもお知らせしますね」 などと言ってみましたが……ーー GMが言っているくらいだからたぶん事実なんだろうな。 推測するに、わたしの上司である岩原さんはただ言い出せないだけで、すでに決まったことなんだと思う。うちのGMは男性社員には厳しいが女子社員には弱い。 それなら、岩原さんが話せるようにわたしの方から切り出さねばなるまい。 きっと岩原さんも苦しんでいることだろうし。 そう考えていると、その機会は存外早くにやってきた。
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