番外編

3/10
943人が本棚に入れています
本棚に追加
/133ページ
リビングに通されると、先輩のお父さんがソファに座っていた。 ……緊張が更に大きくなる。 ただ、お母さんと同じく穏やかそうなお父さんで、「初めまして、志衣君」と笑顔で声を掛けてくれたお陰で、少し落ち着けた。 早速、ソファに座って四人で話すことになった。 俺の隣に先輩が座り、高級そうなガラステーブルを挟んだ正面にお父さんとお母さんが座っている。 「改めて、こちらは坂野 志衣君。既に俺の口から話したけど、恋人として真剣に付き合ってる」 ご両親達に向けて、先輩が落ち着いた様子でそう話す。 先輩の冷静な口調とは裏腹に、俺の心臓はバクバクと一層暴れていく。 ご両親に、認めてもらえなかったらどうしよう。 もちろん、認められなくても先輩と別れる選択肢はないがーー出来るなら、先輩の家族にも俺達の関係を分かってもらえたら嬉しい……。 すると、先輩のお父さんがゆっくりと口を開く。 「志衣君、そんなに緊張しないで。之隆の恋愛対象については何年も前に聞いていたし、君との関係にも反対なんてしていないから」
/133ページ

最初のコメントを投稿しよう!