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「いつもありがとな、志衣」
レジカウンターから出てきた暖也が、商品の入ったショッピングバッグを持って俺の正面に立つ。
「こちらこそ」
そう答え、ショッピングバッグを受け取ろうと手を伸ばすと、暖也が俺の後ろを見て「あ、部長だ」と口にした。
「部長?」
「本社ビルの営業部長だよ。時々ショップにも顔を出してくれるんだ。部長なんて相当上の役職なのに、あの人は俺達と年齢ほとんど変わらないんだって。凄いよな」
「へぇー、それは確かに凄いな」
「あ、こっち来た。ーー須藤部長、お疲れ様です!」
須藤……?
先輩と同じ名字……。
何となく、暖也につられるように俺は後ろを振り向く。
すると、そこにいたのは……。
「……っ⁉︎」
心臓が、ドクンと飛び跳ねた。
そこに立っていたスーツの男性は間違いなく、あの須藤先輩だったのだ。
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