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そっくりさんだと思いたかったが、見間違えるはずがない。あれから約十年経って雰囲気はかなり大人っぽくなっているが、間違いなく須藤先輩だ。
何で東京にいるんだ⁉︎京都にいるんじゃなかったのか⁉︎
まさかの展開に、俺は思わず下を向いて先輩から顔を逸らす。目が合ったのは一瞬だったし、もし気付かれていたとしても今なら何とか誤魔化せると思ったからだ。
しかし……。
「須藤部長。こちら、今人気のインフルエンサーの坂野 志衣君です。うちの店でよく買い物してくれてるんですよ」
と、暖也が明るく言う。
……紹介しないでくれ!
とにかく動揺しながら視線を彷徨わせていると、先輩がゆっくりと口を開く。
「……志衣」
「……っ!」
やっぱり、覚えられてる……!
でも今、落ち着いてゆっくり話せる気はしない……!
「須藤部長、志衣のこと知ってるんですか?」
「ああ。高校ーー」
「こ、ここ! こんにちは、初めまして! SNSで俺の名前知ってくださってるんですね! 嬉しいです、あはははは……!」
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