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その後は、エルケーユーからのPR案件の依頼など、主に仕事の話をしていた。
その話も一通り済んだところで、先輩は腕時計で時間を確認する。
「あまり長く拘束するのも申し訳ないし、今日はいったんこの辺りで。また担当部署から正式な連絡がいくと思うから、その際はよろしくなーーいや、よろしくお願いします」
急に改まられたから、少し笑ってしまった。
「こちらこそ、よろしくお願いします。まあ、SNSでのPR案件とかをやってくれるのは店長ですけど……」
「はは、そうだったな。……志衣、今日は偶然とはいえ、会えて本当に良かった。仕事の話をしたかったのは本当だが、お前の元気そうな顔が直接見れて、嬉しかった」
先輩のストレートな言葉に、俺も思わず優しい気持ちになる。
「……そう言ってもらえて、嬉しいです」
再会した時の警戒心や緊張感は、いつの間にか消えていた。
「そうだ。志衣、一つ聞いてもいいか?」
「何ですか?」
「その……高校はちゃんと卒業出来たんだよな?」
「えっ?」
何の話かと一瞬ぽかんとしてしまったが、すぐに理解した。
先輩の思い出にある高校時代の俺は、教室に馴染めずに毎日サボりがちな奴だったから、心配になったのだろう。
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