2.複雑な再会

11/13
前へ
/133ページ
次へ
「はい。二年からはサボるのをやめて、ちゃんと真面目にやっていましたよ。あ、友達も出来ました」 俺が笑いながらそう答えると、先輩はーー。 「そうか。良かった。偉いじゃん」 そう言ってまた、しかしさっきよりも分かりやすく笑った。 心臓が、ドキッと飛び跳ねる。 ……俺、先輩のこの笑顔が今でも好きみたいだ……。 いやいや、こんな気持ちになったらダメだ。 仮にも有名人である自分が、男同士なんてリスクのある恋愛をするわけにはいかない。世間にバレたら、少なからず騒ぎになる。 というか、そもそも先輩は今の俺のことなんて何とも思っていないだろう。別れてから、もう十年も経っているのだから。 「志衣?」 「あっ、その……」 それなのにーー。 「先輩は、今は恋人は……いますか?」 何で俺は、こんなことを聞いてしまったのだろう。 俺の質問を受けた先輩は、優しく笑いながらこう答える。 「いるよ」
/133ページ

最初のコメントを投稿しよう!

953人が本棚に入れています
本棚に追加