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『これは、うちの美容室を宣伝するチャンスよ!』
梓さんはそう言って、俺のSNSアカウントをすかさず開設した。
そのアカウントは、主に若い女性達の間でたちまち噂となり、フォロワーは急増ーーいつの間にかインフルエンサーと呼ばれる存在になってしまった。
……ただし、SNSの更新も専ら梓さんだ。世間には内緒にしているが、俺自身は一度も更新したことがない。
つまり俺は、しょせん偽物のインフルエンサー。
俺が偽物だと知るのは、この美容室で働く従業員のみだ。
世間を騙しているようで少し心苦しくはあるが……梓さん曰く、俺目当てのお客様が増えたお陰で現在、店は以前より繁盛しているらしい……。
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