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周囲を見回せば、畳に障子に仏壇まである。不破が寝ているのはベッドではなく布団で、全体的に年代を感じさせる和風な部屋はあまり女性らしさがない。
不破が付き合ってきた女性たちはお洒落なソファーやテーブル、間接照明なんかもあるデザイナーズマンションとやらに住んでいた。しかし、ここは古びた一軒家らしく住民の想像ができない。
「あっ、おはようございます」
襖が突然開けられて、不破は思わず身を大きく揺らしてしまう。
現れたのは若い女性だった。だが、これまで不破が付き合ってきた女性たちとは少し毛色が違う。前髪をゴムで頭上に束ね、化粧気のない顔でヘラヘラと笑うのほほんとした女だった。自分の趣味を疑いながら、不破は女性が彼女気取りな発言を繰り出してくるのだろうと身構える。
「……」
「……」
お互い黙って見つめ合うこと数秒。不破は女性の口元にご飯粒が付いているのを発見し、その間抜けな表情に力が抜けてしまう。
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