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「……リュカ、泣きそうな顔してるけど」
娼婦の息子なんて生まれた瞬間に人生終わったようなものだ。こんな人生で、いいことなんて何も起こらないと思ってた。男娼として稼げるのも若いうちだけ。その先は、ただ惨めに堕ちていくだけだと思ったのに――
あの夜、俺が拾った落とし物は幸運の流れ星だ。
「……どうしたの。何か嫌なことでも思い出した?」
「いや。信じられないくらい、幸せだなと思って」
無理やり笑顔を作ったら、こらえていた涙がうっかりこぼれる。自分の頬に落ちた俺の涙を、ライラは指で拭い、ぺろりと舐めた。
「リュカの涙って甘い」
「……うそだぁ。甘いはずないだろ」
「甘いよ。リュカが可愛いから甘い。自分で舐めて確かめてみたら?」
「ライラのあれの方がずっと甘いよ」
言い返すと、その顔が沸騰するように真っ赤に染まる。
「可愛い。大好き。俺の宇宙一眩しい流れ星」
「もうっ……クサいことばかり言ってないで、早く動いたらっ!?」
照れ臭そうに俺の胸を押しやる。あまりにも幸せでヘラヘラ笑った。
「だって、動いたらすぐにイッちゃいそうなんだよね。もったいない」
「好きなだけすればいいでしょ! 夜ははじまったばかりなんだから」
「……言ってくれるねぇ。いまの台詞、忘れないように胸に刻んでおく」
俺の腕に抱かれ、宇宙一可愛い恋人が蕩けるような声で鳴く。初めて訪れる、幸福で甘ったるい夜。
永遠に繰り返す、千と一の物語。
幾千万の夜、呆れるくらいその唇に誓ってやろう。
誰よりも君だけを愛してるよ。俺の愛しい夢幻のライラ。
✨🌙✨ 千と一の夜、夢幻のライラ 完 ✨🌙✨
さいごまでお付き合いいただきありがとうございました\(*^▽^*)/
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