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当てられたスポットライトに、一瞬目が眩んだ。――舞台だ。
ゆったりとたわむ、柘榴色をしたベルベットのカーテン。薄暗い天井に惑星のように揺れる、壺型をしたランプ。どこからか流れる物憂げなリュートの調べ。床に転がる色とりどりのクッション。その上に、裸体に近い女たちが、ガラスの容器から伸びる細いホースを咥えて横たわっている。
――既視感があった。ライラの世界で見たハレムとまるで同じ。つまりあれは、ジョルジュ爺さんが作り上げた舞台だったんだ。
「オリヴィア」は、薄いヴェールをなびかせながら、舞台の中央へ走り出した。視界が何度も激しく回転する。踊っているらしい。暗い客席から舞台を見守るジョルジュの姿が、ときどき視界をかすめた。
中央に据えられた階段を駆け上る。その最上段まで登りつめると、オリヴィアは振り返った。古い劇場に響き渡る、澄んだ歌声。
そのとき。
足元で、みしり、と不穏な音がした。ぐらりと視界が傾く。
直後、板が裂ける音。足元が抜け落ちる。激しく回転する視界。身体と階段がぶつかり合う鈍い音。その狭間に聞こえた女たちの悲鳴。
「オリヴィア――!」
駆けつけるジョルジュの声。そこで映像が途絶えた。
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