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「――ああ、許してくれ、オリヴィア。僕は……君を傷つけた者たちを、君を守れなかった自分を、どうしても赦すことができなかった。……強い呪いをかけたんだよ。この物語に呪いをかけ、そして永遠に閉じ込めた」
オリヴィアが膝をつき、真っ白に染まったその頭をかき抱く。
――あなたひとりを残してしまって、本当にごめんなさい。ずいぶん辛い思いをさせたでしょう。どうか赦して、あなた。
「……謝らないで。もうこれ以上謝らないでくれ、オリヴィア。すべて僕のせいなんだ。君を幸せにしてやりたかったのに」
――なれるわ、いまからでも。お願い、ジョルジュ。私たちの物語に、幸せな結末を描いて。
そしてオリヴィアは、そばに立っていた俺に視線を向けた。
――あなた、見て。リュカがね、私たちをふたたび出会わせてくれたのよ。おかげでようやくあなたを迎えに来ることができた。
爺さんの落ち窪んだ瞳が、驚きに見開かれる。
「……リュカか。お前、こんなところまでわしを助けにきてくれたのか」
「いや――俺が助けようと思ったのはこの子だけどね」
隣に立っているライラを指でつつく。ライラは慌ててぺこりと頭を下げた。
「ああ、何と女神のようにきれいな子じゃあ。……長いこと辛い思いをさせて、本当に済まんかったの」
爺さんの目からはらはらと涙がこぼれる。
「なぁ、爺さん。この物語の結末は変えてくれるんだろ?」
爺さんはゆっくりと立ち上がり、俺に近づいた。そして子どもにするように、俺の頭を撫でる。
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