🌙おまけ✨初めての朝、の初めての夜

7/7
前へ
/67ページ
次へ
「……リュカ、泣きそうな顔してるけど」  娼婦の息子なんて生まれた瞬間に人生終わったようなものだ。こんな人生で、いいことなんて何も起こらないと思ってた。男娼として稼げるのも若いうちだけ。その先は、ただ惨めに堕ちていくだけだと思ったのに――  あの夜、俺が拾った落とし物は幸運の流れ星だ。 「……どうしたの。何か嫌なことでも思い出した?」 「いや。信じられないくらい、幸せだなと思って」  無理やり笑顔を作ったら、こらえていた涙がうっかりこぼれる。自分の頬に落ちた俺の涙を、ライラは指で拭い、ぺろりと舐めた。 「リュカの涙って甘い」 「……うそだぁ。甘いはずないだろ」 「甘いよ。リュカが可愛いから甘い。自分で舐めて確かめてみたら?」 「ライラのの方がずっと甘いよ」  言い返すと、その顔が沸騰するように真っ赤に染まる。 「可愛い。大好き。俺の宇宙一眩しい流れ星」 「もうっ……クサいことばかり言ってないで、早く動いたらっ!?」  照れ臭そうに俺の胸を押しやる。あまりにも幸せでヘラヘラ笑った。 「だって、動いたらすぐにイッちゃいそうなんだよね。もったいない」 「好きなだけすればいいでしょ! 夜ははじまったばかりなんだから」 「……言ってくれるねぇ。いまの台詞、忘れないように胸に刻んでおく」  俺の腕に抱かれ、宇宙一可愛い恋人が蕩けるような声で鳴く。初めて訪れる、幸福で甘ったるい夜。  永遠に繰り返す、千と一の物語。  幾千万の夜、呆れるくらいその唇に誓ってやろう。  誰よりも君だけを愛してるよ。俺の愛しい夢幻のライラ()3ff21381-6752-4f5c-88db-47a2c1b249e1 ✨🌙✨ 千と一の夜、夢幻のライラ 完 ✨🌙✨ さいごまでお付き合いいただきありがとうございました\(*^▽^*)/
/67ページ

最初のコメントを投稿しよう!

74人が本棚に入れています
本棚に追加