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根掘り葉掘り聞いてやろうと思った瞬間、ライラが一足先に言った。
「……ねえ。どこか、ふたりきりになれるところはない? 実はリュカに頼みがあるんだ。落ち着いて話がしたいから」
そう言って潤んだ瞳で俺を見上げているのは、露出度高めの可愛こちゃん(ただし男)。しかも自覚があるのかないのか、俺の指先をつかみ、ぷらぷらと揺らしている。
――何その可愛いおねだり。それ、相手を勘違いさせるやつだからね?
そこでようやく俺は、この異様な距離の近さの理由に気づいた。
――わかった。たぶんこの子、俺と同業だ。でも同業ならこんなに可愛くて目立つ子、この街で話題になってるはずなんだけどな。
よし。ここは手を出す前に、はっきり確認を取ろう。
「あのさぁ、もしやライラってそっちの人なの? それとも美人局? バックにヤバいのついてない? 言っとくけど、俺を罠にはめてもたいした金取れないからね? 狙うならもっと太ったオヤジを狙わないと」
「へっ? つつも……?」
ライラが間の抜けた顔をした。どうやら美人局という言葉すら知らないらしい。
「じゃあ営業なの? こんな驚きのシチュエーションを用意するなんて、なかなか凝った演出だね。で、一回いくら?」
値段次第では乗ってやってもいい。できれば友情割引をお願いしたいけど。俺だってたまには、変態オヤジじゃなくて可愛い子としたいしさぁ。
「一回って何の数? えっと、僕はただ、どうしてもリュカにお願いしたいことがあって……」
うーん、違うのかな。でも美人局でも男娼でもなけりゃ何だ?
「……ふたりきりで話がしたいなら、いちおう当てはあるけど」
提案すると、ライラの瞳がぱっと輝いた。ライラの手を引き、その当てのある方へと歩き出す。ちなみに逆ナンなら大歓迎です。
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