微睡みからの予感

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 いつものようにテレビをつけて、台所へと向かったコウタ。テレビから流れる音を聞きながら料理をするのは、コウタの日課だ。  コウタの足に何度かおでこや体をすり付けてみたけれど、危ないよと言われ仕方なくリビングに戻る。    うろちょろとするフユを目で追っていたら、テレビから音楽が流れてきた。それと同時に聞こえる、ワクワクとした声。 〔大切な人に、クリスマスプレゼントを送ろう!!〕 「ねぇねぇ、フユ。クリスマスって、なんだろう?」  ボクの問いかけに、フユは笑った。 「はは。ナツ、クリスマスも知らないのかい? サンタって人が、プレゼントを配る日さ」 「へえ。クリスマスって、いつなの? ボクも、サンタになれるかな?」  一旦足を止め、フユはこちらにやってくる。 「これだから、お子様は。今日は12月12日って言ってたから……まぁ、あと何回か寝たらクリスマスさ。それと、サンタは(ヒト)だ。わたしらは人になんてなれっこないよ」 「そっか……」  元々丸い背をより一層丸め、首を床すれすれまで落として落ち込むボクを見て、フユは分かりやすく溜め息をついた。 「ナツ、あんたはなんでサンタになりたいんだい?」 「簡単だよ。コウタに、クリスマスプレゼントをあげたいんだ!」  そう。ボクは思い付いたんだ。ボクにこの場所を与えてくれたコウタに、恩返しをする方法を。  田舎の小さな平屋の一軒家。決して新しいとは言えなくて、最近は隙間風もボクの毛を微かに揺らす。けれどこの場所は、暖かいんだ。どんなことがあったって、いつだって暖かい。 「プレゼントって、何をあげるのさ」 「それは……まだわからないけれど、何か美味しいものとかさ!」 「ふうん。そうかい。それは、喜ぶだろうねえ。コウタはあんたを溺愛してるし」  フユは、おかげでわたしの出番が減っただの、ソファーが狭くなっただのと呟いていた。
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