第一章◆すべては止まる

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なんとなく始まった思い出話はまだまだ続く。 「そういえばさー、先月だっけ?一人で来てて、ちょっとおとなしい感じのあの女性客。会計後の帰り際に綾音、急に髪の毛掴まれて…凄くびっくりしたよね、あれ」 そう、情けないけど、なぜ怒らせたのかは全く心当たりがなく、あれは精神的にもかなりヘコんだなぁ。 「最後は逃げるように帰っていったよね。結局あれからあの人は来ないし、怒った理由は分からずじまい。なんだったのかね」 こんな風に強く印象に残るものもいくつかあったし、言われなきゃ忘れてしまっていた事なんかも山ほどあった。 今となっては全部、私を成長させてくれたいい思い出ってことかな? うんうんそういう事にしておこう。
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