第一章◆すべては止まる

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上がってからだいぶ経ち、22時を過ぎた頃。 この時間になると、室内であっても外が段々と冷え込んできたのが分かるほど。 わわー!風も吹いてるみたいだし、寒そうだなー。 「バイトの経験談になると話止まんなくなるね。じゃ、そろそろ帰ろっか」 「そーだねー」 璃咲とはもともと共通の話題がたくさんあるんだけど、バイトが一緒だから話のネタはとにかく尽きない。 話し始めると、いつもあっという間に時間が経っちゃうなー。 「はい、綾音。また明日ね」 「うん、じゃあまたね。お疲れ様」 風に煽られながら帰る帰り道。 頬と足が冷たくなって、ちぎれそうになりながらも自転車のペダルを漕ぎ続けた。 家に着き、自転車を置き、素早く鍵を開けて家のドアを開く。 その瞬間に中から溢れ来る温かな空気に、私の体は芯までほわっと包まれる。 「ただいまー」 「はい、お帰りねー」 部屋に荷物を置いて、上着をを脱いで…その後は真っ先にお風呂へと向かう。 一日も終わりに近づいて、のんびり過ごす至福の時だ。 うんうん今日も頑張りましたよ。 そしてお風呂から上がり、髪を乾かしながら携帯を出して、私はもう一人の親友のもとへと向かった。 ツイッターで知り合った、カナデくん。 やりとりするようになってもう半年以上になるけど、お互い顔も知らない私達。 LINEやツイッターでのやり取りだけだから、声も聞いた事がない。 結構年上っぽいんだけど、話が合うからとにかく楽しいんだよね。
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