第一章◆すべては止まる

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そんな璃咲を見てほんわりした気分に浸っていると、ふとお店の中の空気感が急に変わったというか、何かちょっとした違和感を感じ始めた。 「~♪♪…プツッ、ザッ…~♪」 …え?なにこれ? 店内に流れるBGM。 なぜか聞き苦しい感じで、途切れがちなのがやけに気になる。 どうしちゃったのかな?故障したのかなぁ。 …と思うと同時に、身体はぐぐっと急激に重く感じ始める。 「り、璃咲…!た…すけ……」 異常に気づき、目の前の璃咲の背中に手を伸ばして呼び止めようとしたけど、なんだか声がうまく出せない…。 そして目の前に並ぶ時計達。 違和感はそこにもあった。 チッ、チッ、、、、チッ、、チッ、、、、、 秒針は不規則なリズムを刻みながら回っている。 …止まりかけたり、動いたり。 電池切れなのかと思ったけど、そこに並ぶ他の時計を見ると、すべての時計がおかしなことになっていた。 連続秒針の時計すら、ぐにゃぐにゃとした歪んだリズムで時を刻んでいる。 ……そして、だんだんと時計の針はスピードを落とし… …ついに、止まってしまった。
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