第二章◆ここにいるよ

1/11
前へ
/197ページ
次へ

第二章◆ここにいるよ

どれくらい時が経ったんだろうな…。 止まった時に対して、どれくらい経ったのかっていうのもおかしな話なんだけど。 あくまで体感ではだけど、もうすでに何時間も過ぎたような気がする。 瞬きさえできず、同じ風景が目の前に焼き付いていて、全く動かない。 気が狂いそう…。   私は死んでしまったの? これが死後の世界だとでもいうの…? 動くこともできないから、眠ることさえできない。 永遠って、素敵な言葉。 大好きな言葉なんだ。 …でも、こんな永遠なんていらないよ…。 もしも私がこのままずっと……… 「……たしが…」 …え? 「……………が…ま…………るよ……」 完全なる静寂の中でかすかに聞こえる、蚊の鳴くような小さな声。 近いようで遠く、何を言っているのかは聞き取れなかった。 …今のはなんだろうと思った次の瞬間、目の前は真っ白になり、意識はゆっくりと遠退いていった…。
/197ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加