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いつの間にか記憶は途切れる。
浅い眠りを繰り返し、どのくらい時間が経ったんだろう。
「………!!」
静寂と暗闇の中。
目は開かない。
…身体は再び動かなくなっていた。
何もできない。
心臓の鼓動も感じない。
それどころか、何も感じない…。
…………無。
…これが死…?
私、死んじゃったの………?
いや、こうして意識があるんだから、私は存在してるはずなんだ。
……私は誰?
森山綾音。
…本当にそうだろうか。
それを証明する術は、ここには何もないのかもしれない。
昨日までの記憶も、私という意識が作り出した夢や妄想なんだとしたら…。
そもそも今の私の存在自体、『森山綾音』であるという記憶を刷り込まれた誰か…もしくは何かなのかもしれないし。
無駄に変な想像をしてしまい、現状を理解しようとすればするほど混乱する。
何が何だか分からないし、考え始めるときりがないよ…。
もういいか…。もうだめかもしれない。
そんな諦めにも似た感情に支配されていき、流され、心を委ねそうになった時。
どこかから、誰かの声が聞こえてきたような気がしたんだ。
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