第二章◆ここにいるよ

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いつの間にか記憶は途切れる。 浅い眠りを繰り返し、どのくらい時間が経ったんだろう。 「………!!」 静寂と暗闇の中。 目は開かない。 …身体は再び動かなくなっていた。 何もできない。 心臓の鼓動も感じない。 それどころか、何も感じない…。 …………無。 …これが死…? 私、死んじゃったの………? いや、こうして意識があるんだから、私は存在してるはずなんだ。 ……私は誰? 森山綾音。 …本当にそうだろうか。 それを証明する術は、ここには何もないのかもしれない。 昨日までの記憶も、私という意識が作り出した夢や妄想なんだとしたら…。 そもそも今の私の存在自体、『森山綾音』であるという記憶を刷り込まれた誰か…もしくは何かなのかもしれないし。 無駄に変な想像をしてしまい、現状を理解しようとすればするほど混乱する。 何が何だか分からないし、考え始めるときりがないよ…。 もういいか…。もうだめかもしれない。 そんな諦めにも似た感情に支配されていき、流され、心を委ねそうになった時。 どこかから、誰かの声が聞こえてきたような気がしたんだ。
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