第二章◆ここにいるよ

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ずっとずっと大事にしていたその人形。 璃咲と旅行に行った時に失くしてしまったんだよね。 どこでどう失くしたのか全然分からない。 旅館の人にも相談して総動員で探してもらったんだけど、結局見つからなかった。 うーん…あれから一年近く経つから、さすがにもう帰ってこないんだろうな。 「痴漢騒動自体はそれより前だから関係ないとしても、思えばあれから嫌なことが続いてるような…。守ってくれるコがいなくなっちゃったからだよー」 「まぁ大切にしてたのが失くなっちゃったのはかわいそうだけど、人形だよ?いい歳なんだし、いつかは卒業しなきゃだったんだからさ。悪い事が続くとかは気のせい気のせい。そうやって何かに結び付けるのは良くないぞー!」 …うーん、まぁ確かにそうかな。 失敗を他人のせいにして、前に進まない人みたいだもんね。 悪い事を何かのせいにするとか、なんだか情けないよなー。   「そうだね。私は私が守らなきゃいけない訳だしさ。結局そこから逃避して、すがれるものに…現実には助けてなんてくれないものに頼ってしまっていただけなのかもしれないなぁ」 「んー…まぁ、プラシーボ効果とかってのも実際にはある訳だし、信じるって事がパワーを生むのはあると思うから、全否定はしないよ。たださ、人形に頼るくらいなら私にでも頼んなよね!もーっ」 「…うん、そうだよね。璃咲もそうだし、私には頼れる人がたくさんいる。そっから強さをもらえてるもん。それを忘れちゃいけないよね」 「そそ、そういうこと」 親友の璃咲や、他の友達や家族。 私にはみんながいるから、きっと大丈夫。
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