第一章◆すべては止まる

2/19
前へ
/197ページ
次へ
「あ、そうだ、綾音。先週の日曜日、駅にいたでしょ。結菜と彩香がお昼頃に見たって言ってたよ。私との約束をドタキャンしといて、そりゃないよ」 「え?え!?璃咲、それ私じゃないよ。あの日はホントに体調が悪くて、家で一日寝てたんだよー」 嘘じゃない。 あの日は頭が痛くて、そしてなんだかすっごく眠かったから、璃咲と会う約束はキャンセルして一日家で寝てたんだ。 「んー、結菜も彩香も揃ってさ、あの日の綾音は珍しく、ちょっと気合い入った雰囲気だったとか言ってたし…。あぁ、じゃあそれは綾音じゃなかったんだね。あ、そういえば綾音ってお姉さんがいたよね?確か双子だとか言ってたっけ?あれってお姉さんだったのかな」 「んーん、それは違うよ。あ、言ってなかったかもだけど、さーちゃん…あ、お姉ちゃんはさ、随分前から入院中なんだ。ちょっと簡単には治らないやつで、4年前からずっと入院してるんだよね」
/197ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加