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「す、すいませんでしたぁ!」
二人組がその言葉を発すると同時に、拳を握っていた手はぱっと離された。
それから間もなく、振り返ることもなく、その二人はよろよろとしつつも足早に去っていった。
おーっ!なんだかすごい。
握っただけで追い返したよ。
この人どんだけ握力あるんだろうなぁ…。
「まぁこれで大丈夫だろう。お、ケガしてない?捻ったりして、痛いとことかはない?」
ほんの少し前とは全く違う、穏やかな表情で話しかけてきた。
「はい、大丈夫です。ありがとうございました!」
「うんうん、大丈夫ならいいんだ。とりあえず平和的な解決ができて、よかったよかった」
…え?平和的な解決??
めっちゃ武力行使していたような…。
璃咲を見ると、どうやら同じことを考えていたらしく、お互い苦笑した。
「本当にありがとうございました」
「じゃ、俺はこれで。ちょっと人集まって来ちゃったしさ。まーこれ以上関わって、下心あって助けたんだみたく思われるのも嫌だしな!」
思わないし。
むしろ、その発想が笑えたりする。
それらが冗談なのか本気なのかは分からないけど、和やかなムードになり、ほっとして落ち着いてきた時だった。
「…んん?」
あれれ?なんだろう。
男性は急に私の顔を覗きこみ、眉間にシワをよせて唸り始めた。
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