冬のご挨拶

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冬のご挨拶

「あらいけない、先生にご挨拶申し上げるのを、すっかり失念していたわ」 お母様は硯をとりだし、墨をお摺りになりました。 やがて真っ白な半紙を広げたお母様は、スルスルと筆を走らせて、一羽のヨウムをお描きになりました。 お母様が小筆で目を入れますと、ヨウムは羽ばたき半紙から飛び出します。 お母様はヨウムに話しかけます。 「寒さがひとしお身にしみる頃となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。 季節の変わり目くれぐれもご自愛ください。 ごきげんよう」 ヨウムは「ごきげんよう」と言いながら、先生のお宅へと飛んでゆきました。
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