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十月も終盤になると日が暮れるのもすっかり早くなり、夏生が学校から帰宅する時間帯にはもう星が見えていることもあった。
大学のゼミでは、下期にグループで発表するテーマ研究が佳境に入り、図書館通いをしたりメンバーとオンラインでミーティングしたりと忙しいが、その分充実感もあって楽しく過ごせていると思う。勉強することは割と好きなのだと、自分でも思う。
小学校のボランティアは少し変化があって、いつも陽気な英語の市原さんが体調を崩して入院されたのを機にサポーターを辞められた。可愛がってくれた人がいなくなるのは寂しかったが、良くなって復帰したいと言われていたと山田さんから聞くと、早くそうなってほしいとすごく思った。
最近の山田さんの面倒見の良さは絶妙で、お節介とのギリギリのラインを攻めていると思う。世話を焼いてくれるのはいいのだが、女の人にありがちな噂好きの面は夏生も苦手で、なるべく絡まないようにしているが、聞こえてきてしまうものに対してはどうしても無抵抗だ。
今日も山田さんを含め何人かで弁当を食べながら、先生方の品定めをしていたので、夏生は少し離れたところに座ってゼミの資料集を読むようにしていた(ほぼ頭に入らないが)。
「高岡先生」という言葉が聞こえた。
一度言葉を捕まえてしまうと、さっきまで聞こえなかった会話がどんどん耳に入ってくる。
「イケメンだけど抜けてそうなところがいいのよ」
「えー、伊藤さんはああいうのタイプなの?」
「私もかな。背の高い人好きだもん。顔も好み。山田さんはどうなの」
「そうだなあ。メガネかけてる人がいいから、吉岡先生推し」
「わかるわー」
楽しそうではある。こういう話は職場じゃなくて居酒屋で飲みながらする話のような気もするが。正直、むちゃ気になる。
そうですね。高岡先生はいろいろ抜けてます。僕も男前だと思います。背も高くてスタイルもいいと思います。総じていえば、かっこいいと思います。
「ま、高岡先生はいろいろあったし、ね」
「あーあれ」
いろいろ?
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