23章:自覚

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 その日、なんとか仕事をこなして家に帰ってからずっと落ち着かず、時計ばかり見ていた。 (一体、どんな顔して会えばいいのよ!)  そう思っていたけど、何時になっても修は帰ってこない。  1時を回ったころ、かちゃりと遠慮気味に玄関の鍵が開けられた。  さすがに玄関に迎えに行くのはできなくて、リビングで修を迎える。 「お、おかえり」 「あぁ、ただいま。まだ起きてた?」  修はそう言って、また私のこと、愛しいものを見るみたいに目を細めて見ている。  泣きそうなほど心臓が痛くなって、それの意味が分かったからこそ、さらに私は緊張した。  顔が熱い。きっと赤いだろうな。  変に思われるよね。  そう思ってちらりと修を見ると、ふと、修の顔が疲れていることに気づいた。  考えるより先、自分の身体が勝手に動く。  私は修をぎゅうと抱きしめていた。
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