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──それで、その後どうしたのかって?
あとはその繰り返しさ。まるで名人が投じた水切りの石みたいに、僕らはポンポンと港まで跳び続けた。翌日の用事には、もちろん余裕で間に合ったよ。
だけど、港に着く頃には、もう転職の決意を固めていたよ。それまでささやかながら築き上げてきた地位なんて、ひどくケチでつまらないものに思えてならなかった。
後悔? もちろんないよ。そりゃもちろん、資格を取得するまでにはずいぶん苦労したし、それに見合うだけの給料を得られているとは言えないさ。跳躍士って職業は薄給だからね。
だけどあの、どこまでも自由自在に跳んでゆける喜びってやつは、麻薬みたいなもんなんだよ。一度味わってしまったら、もう決して逃れられない。
ま、百聞は一見にしかずって言うだろ? ともかくいっぺん一緒に跳んでみようよ。
君にもぜひ知ってほしいんだ。自分の力で跳んで跳んで飛びまくるってことが、どんなに素晴らしいことかをさ。
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