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「どうかしたの?」
「別になんでも。」
「そっか。」
君は赤くて、僕も赤くて。お揃いで嬉しかったから話しかけたのに、「どうかしたの?」って…。ちょっとひどくはありませんかね?
「じゃあ、行こっか。」
「え、もう?」
「早いほうがいいでしょ。」
「はーい。」
楽しい時間はもう終わっちゃうのか。残念だけど、君のため。そして僕のためだ。
「またね。」
「その『またね』って言うのやめてよ、気持ち悪い。」
「なんでそんなこと言うの。また会うんだから、別に変じゃないでしょ。」
冷静で時々残酷な君は僕にいつも酷い言葉をぶつける。僕はもう慣れたからいいけど、これから会う人たちはきっとびっくりしちゃうだろうなぁ。
「次、何する?」
「何もできないでしょ。もう終わりだよ。」
「まだまだ旅はここからだって!脱獄とかしちゃう?」
「もう、冗談もいい加減にして。このドア開けたらもうこの旅は終わりだよ。」
「…分かったよ。楽しかった、ありがとう。」
「うん、私も。開けるよ。」
「うん。」
ゆっくり君はドアを開けた。外は夜なのに昼みたいに明るかった。沢山の光が僕たちを照らしていて、まるでショーの主人公みたいでとってもワクワクした。
そんなことを考えていたら人たちが近寄ってきた。僕が君の方をふと見ると、君もこっちを見ていたみたいで目があった。ニコッといつもの笑顔を見せると、君は涙を流しながら笑い返してくれた。いつぶりだろう、君の笑顔を見たのは。すごく嬉しい、温かい感情が湧いてくるのが分かった。
そこで僕たちの旅は終わった。最後まで楽しい思い出でいっぱいだった。君が旅立つのは3ヶ月後に決まった。僕は後を追うように、4ヶ月後になった。君と会えなくなるまで3ヶ月、楽しもうと思ったけど、その1ヶ月後にはもう会えることを思い出して、鉄格子の中で1人、ガッツポーズをした。
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