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もう
すべて
おわりでいい
いなくなってしまいたいと
泣いた夜をこえて
気がつけば新しい朝が来ていた
でも
心に澱んだ
ぜつぼうの水たまりは蒸発していない
泣き腫らした顔もみっともなく真っ赤なまま
だけど
あなたが ゆっくり 目を開けて
静かに、ゆらり、
このたよりない布団の上から身を起こし
「ああ、もう少し、今日も
生きてみようかな」と嘆息しつつも思うことで
だれかがバイクで配りに来てくれたポストの中の朝刊は
あなたの手に受け取られ
あなたが朝一番に乗る電車のいちばん隅っこの席は
ひんやり冷えたままではいられなくて
あなたを見てぼくが「おはよう」と振る手は
所在なげに、だらん、と垂れずにすむ
そして
あなたがいることで
あやういこの星の均等は
今日もかろうじて守られ
地球は宇宙のさみしいブラックホールのなかに
真っ逆さまにならずに済んだんだ
いてくれて
ほんとうに
ありがとう
こころから
ありがとう
もう少しだけ
もう少しだけ
生きてみようと
あなたが ぼくが だれかが もがくことで
続いてきて 続いていく この世のふしぎ
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