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「……」
ほらこれよ、私の勘違いをわかっていて、ひどい。でもこうやって直接揶揄われた方が薄っすら笑われるよりまだいいや。
「昨日呼び止めちゃったからね、もしかして気にしてくれてた?」
「まあ、入山が話しかけてくるのなんてめずらしいからな、何かあったのかと」
「そういうことか、ごめんごめん」
わざわざ聞きに来てくれたのか、律儀。
仕事ではキレキレなくせに、わかり難いんですよ、いつも。
そこからは、そのうち嫌でも仕事で関わることになるだろう気安さからか、いつになくフレンドリーな会話がポツポツと続いた。
いつになく、というよりもはじめてに近い。お互いに余計なことには触れない、当たり障りのない話題ばかり。
しかし妙な感じだ。こんなに近い距離で食事をしたことなどないのだが。不思議な気分になり、思わずチラチラと観察してしまう。
睫毛が、長いなぁ、顔も小さくてシュッとしている。目鼻立ちもバランスよく完璧で、端正な顔立ちってこういう顔のことをいうのだろうな。雰囲気イケメンとかとわけが違い食べ方まできれいだ。
「なに?」
「いや、きれいな食べ方だなぁと思って」
「…………早く食べれば?」
「ああ、そうだった」
また、本音が口を突いて出てしまった。
下心なしだが、ただその姿に見惚れてたとはさすがに言えない。
それと実は、さっきから気になって仕方がないものがあるんです。冴島君のお盆に乗っているソレ、もしかして……。
「……だから、なんだって」
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