3.つまりはそういう事

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「あのさ、って会社の近くのヨーグルト専門店の期間限定のやつじゃない?」  お盆の上にのせられたデザートらしきものを控えめに指差しながら聞くと、 「ああこれ? 貰いもの」 「それね、お店でも買えないんだよ。お取り寄せ専用なの、季節のフルーツヨーグルト」 「へえ」  絶対わかってない、その貴重さを! 〝食べたいけど高いしなあ〟って、取り寄せるのを諦めたやつなんです、期間限定品!  いいな…は顔には出さず、ごちそうさまを言って立ち上がると、同時に冴島君も食事を終えたようで、ごちそうさまと言う。 意外と礼儀正しい。 「じゃ、お先に」 「入山、これ」 「えっ?」 「どうぞ。食べたいんだろ?」 「いや、でも折角。だってめちゃくちゃ美味しいんだよ、これ。クリーミーで濃くて」 「もう一つあるから」 「ほんとにいいの!? やった、嬉し過ぎる最高。午後も頑張れる!」  今日の運は使い果たした。  ハヤシライスといいヨーグルトといい。 「ヨーグルト一個で、安いな」 「ちょっとこれ、いくらすると思ってるの、一個1,100円、ケーキ二個買えるんだよ? 全っ然安くないから!」 「……」 「容器もいいよ、ラグジュアリー感あって」 「……まぁいいや」  これは職業病。  このパッケージ、素材もいい、ステキ。  あれ、何の話をしていたっけ?  なんか今、冴島君とあまり抵抗なく話せていたような気がする。  話すようになれば、自然と慣れるのかもしれないな。美人は三日で飽きると言うから。    少しだけ、芙美と田中君に感謝した。
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