トナカイはサンタを乗せて

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 サンタクロースの服は、昔は真っ白じゃった。外は雪で真っ白じゃからの。姿を隠すのに、ちょうどよかったんじゃ。  じゃあ、今はなんでこんな真っ赤な服を着ているかって?  お嬢ちゃん、違うんじゃ。これは、真っ赤に染まっていったんじゃ。  何も知らず、プレゼントを心待ちにする、かわいい、かわいい……。  貴様らの赤い血でな!  少女の絶叫が響き渡る。  外で待機していたトナカイは、慌てて口にしていた人参を吐き捨てると、二階のベランダに向けて飛び立った。  窓から中を見ると、ベッドの上で女の子が震えている。その向かいから、ジリジリと歩み寄る姿が見えた。 「おいサンタ! おまえ、なにをやっているんだ!」  トナカイの言葉を無視するように、サンタが両手を広げた。「ふぉっふぉっふぉっ……」と、低く重たい声を発し、今にも飛び掛かりそうな姿勢をとる。  それを見ている女の子は、震えを通り越し、体を硬直させていた。  トナカイは「どけぃ!」と言ってサンタを突き飛ばすと、慌てて女の子に駆け寄った。 「おい! 大丈夫か!」  しかし、トナカイは気付いていなかった。  ちょうど自慢のその鼻が、女の子の視界の目の前に位置していたことを。  真っ赤な鼻に、吸い寄せられるように女の子の視線が集中していたことを──。  ガクッと力なく倒れ込んだ女の子を、ふかふかの布団がやさしく受け止めた。
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