第二章

6/6

4人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
「私が自殺するんじゃないかって思ったでしょ。私もずっとそれを考えてた。大学でも友達も作らないで1人でいたし、家でも両親と弟たちは楽しそうに家族してるのに、私はそこに入れないし…。楽しいことなんて、もう一生ないんじゃないかって思ってたから。でもね、今日は楽しかった。私がたった2回会っただけの男の子と遊園地でこんなふうに遊べるなんて、すごく驚いてるの。こんなふうに話せる自分に、すごく驚いてる」 彼女が僕を見た。 僕も同じだ。 西澤が待ち合わせの場所に来なかった時、僕はもう誰かを好きになんかなるもんかって思った。それどころか、女の子とは関わらないようにしようとさえ思っていた。 「僕もだよ。西澤に振られたと思い込んで、もう傷つきたくないから女の子には近寄らないようにしようって思ってたのに、気がついたら西山さんと楽しく遊んでたよ。すごく不思議だって思ってた。でも、これってさ、西澤がつないでくれたからなんじゃないかな。西山さんは西澤の友達で、僕も西澤の友達で、だから、僕と西山さんも友達になれた。きっとそういうことなんだと思う」 すると彼女は少し考えると、にっこり笑った。 「そっか。そうだね」 それは、とても、素敵な笑顔だった。 朝は遊園地の入口で待ち合わせをしたが、帰りは一緒に帰った。彼女が僕と同じ駅で降りたので、彼女の家が僕や西澤の家とさほど遠くないことがわかった。僕の家は駅の北側で、彼女の家は線路を挟んで南側だったので小学校は違っていたが、歩いても20分ほどの距離のようだった。 「じゃあ、次はここで待ち合わせしようよ」 僕は彼女に言った。 「そうね。でも、次は少し難しいから、ちょっと時間がかかるかも。見つけたら、連絡するね」 そう言って、彼女は去って行った。 難しいとか時間がかかるとかよくわからなかったが、とにかく僕は彼女からの連絡を待つことにした。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加