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「でも、あなたに会ってみたら、その気持ちはだんだん変わってた。真帆が日記に書いたみたいな理想のヒーローでも王子様でもなかったけど、あなたはとても優しくて、かっこいいときもあって…。だから、今日も日記に書いてないのに、ここに来てしまって…。そんな自分がなんだか嫌で、真帆のこと、忘れてしまったみたいで…」
彼女の肩が震えていた。
「真帆のこと、忘れたくない。絶対に忘れたくない。真帆に会いたい…」
彼女は泣いていた。
僕も立ち上がった。
「僕も会いたい。西澤に会いたいよ。あの日、何も言えなかったことを謝りたい」
僕は空を見上げた。
僕達の上を星が流れていった。
「西山さん、流れ星だ」
僕達は空を眺めた。また星が流れた。
「真帆に会いたい、真帆に会いたい、真帆に会いたい」
彼女が空に向かって叫んだ。
「西澤に会いたい、西澤に会いたい、西澤に会いたい」
僕も空に向かって叫んだ。
僕達は、その後も空に向かって願い続けた。星が流れても流れなくても、空が白んで星が見えなくなるまで、ただひたすらに願い続けた。
そうして朝を迎えた僕達は、次の約束をして別れた。
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